産・官・学が連携した新企画“スタートアップ創出元年” 「地域の起業家育成プロジェクト」発足

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NES株式会社、信金中央金庫、三井住友トラスト・ホールディングス株式会社の3社が、地域発のベンチャー起業家の育成・創出を目的として、新規ファンドの設立や起業家支援プログラムを包括的に行う新規プロジェクトを開始。

10名以上の公的機関や生命保険会社などの機関投資家、スタートアップの元経営者やエンジェル投資家などが共同で参加します。

参画するスタートアップの元経営者には、出前館の代表を20年務めた中村利江氏やNES社の取締役であり、デジタルマーケティング企業のオプト(現デジタルホールディングス)元代表の海老根智仁氏、フィルカンパニー創業者の高橋伸彰氏などが並びます。

今回のプロジェクト本格稼働により、起業を目指す方や既に起業している方が、全国どこにいても東京同様の事業成長や起業機会を得られるようになることを目指します。

2022年は「スタートアップ創出元年」

NESの今川代表

日本政府は、戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため「スタートアップ5か年計画」を設定し、スタートアップの創出に力を入れています。岸田首相も2022年1月の年頭記者会見において、「2022年をスタートアップ創出元年」と発言するなど国をあげた支援を進めています。

一方でスタートアップ創出の課題として、地方と東京との機会格差が問題となっています。実際、大学発ベンチャー企業数や投資資金は東京および主要都市に集中する傾向が強く、地方と比べても圧倒的な差が見て取れます。しかしながら、東京で起業する起業家の出身地は東京にとどまらず、地方も含めて全国さまざまです。起業家として活躍できる人材は全国にいるものの、資金やノウハウ、起業について学ぶ機会や情報、人的ネットワークが東京に集中してしまうことが地方で起業家が生まれずらい現状になっていると考えられます。

地域産業の創出のために必要な取り組み

三井住友トラスト・ホールディングスの高倉社長

こういった地域格差を是正し、日本各地から起業家が輩出される新たな地域社会システムの構築を目指し、株式会社オプトを創業~上場まで行い、実業家並びにエンジェル投資家としても著名の海老根智仁氏と三井住友信託銀行が共同で地方の起業家育成を行うNES社を2019年に設立。各地の大学や地方公共団体と共同で起業家教育プログラムを実施し、地方の起業家を支援してきました。

そして今回、三井住友信託銀行をはじめ、地域との強いネットワークを持った信金中央金庫や、出前館前社長で実業家の中村利江氏、公的機関や生命保険会社などの機関投資家などの投資により総額数十億円規模の地域発スタートアップにも投資を行うファンドを設立。またNES社がこれまで行ってきた起業家育成活動について、想いを共有する投資家が保有する機能を活用することでその取組みを加速させ、日本全国において起業文化を醸成、起業家の輩出を目指すプロジェクトがスタートします。

地方ならではのプログラムを本格展開


従来のベンチャーキャピタルはピッチコンテストなどを通じてすでに成長角度の見込める企業・起業家へ投資することが一般的ですが、このプロジェクトでは草の根となる「起業家の育成」からサポート。NES社が持つ実際に起業・事業をスケールさせてきた経験やノウハウ、三井住友信託銀行・信金中央金庫・生命保険会社等が持つ全国各地域の大学等のリレーション、公的機関が全国に有するインキュベーション施設や起業支援ツール等を最大限活用し、起業家育成活動と実際の起業フェーズでの投資事業を両輪で行っていく新しいベンチャー・エコシステムを実装。全都道府県から全国規模の企業家を輩出することを目指します。

「地域の起業家育成プロジェクト」発表会


7月4日(月)に行われたプロジェクト発表会には、NES社代表取締役の今川信宏氏・取締役の海老根智仁氏をはじめ、信金中央金庫理事長の柴田弘之氏、三井住友トラスト・ホールディングス取締役執行役社長の高倉透氏が登壇。今回のプロジェクトが立ち上がった背景やこれまでの実績、今後の展開予定などを発表しました。

設立したファンドについて、信金中央金庫理事長の柴田氏は、「地域と都市部で半々くらいを支援したい。期限は10年+延長1年+1年で最長12年。注力してる地域は5エリアで、今後は東北地方、中国四国地方、数年後には全国規模で起業家教育ができるような体制づくりを目指している」と詳細を語りました。

発表会参加者からの支援予定者の数についての質問には、NES株式会社の代表今川氏が「注力しているエリアから一人でも早く全国規模の会社を創出したい、人数よりはエリア単位で考えている」と回答。

また、全国ネットワークの信金中央金庫の起業家候補のデータベースなど、起業家を育てるための情報整理の現状を聞かれると、信金中央金庫専務理事の須藤氏が、「ネットワークに関しては、全国254の信用金庫とその先にある中小零細企業を掬い上げる仕掛けづくりを行っている」と答えました。「信金中央金庫の創立70周年記念事業として企業版ふるさと納税の仕組み等を活用したSCBふるさと応援団を創設し、信用金庫と地方公共団体の連携による地域創生の取組みをサポート(2年間で200弱の自治体から提案)するなど、自治体との関係性もでてきてるので、しっかり勉強をすすめながらNESファンドにつなげていける仕組みづくりに転化したい。」と意気込みも語りました。

注目の投資家・企業が多く参画し巨額を出資する一大プロジェクトは地方在住の方には大きなチャンス。私たちの住む日本の未来のためのプロジェクトに、今後も注目です。

三社合同プレスリリース